北浜まちづくり会議HOME > 村松町のお頭神事(神事祭礼)

お頭神事は、ご神体であるお頭さんが、町内にお出ましになり辻舞を行いながら町内のけがれ、災いを祓い清めて廻り、最後に山の神でのツムギ(青松葉600束を燃やす)で集めてきたけがれ等を焼却して、新年の豊作と大漁など産業の発展と町内の安寧を祈願し、春を迎える行事です。
また、村松町の西側・東大淀町との境界と、東側・有滝町との境界の確認(歳目差(さいみょうさし))を行う行事でもあります。

お頭神事の流れ

(1) 入り笛式(2) 潔斎(3)宇氣比神社での舞い(4) 刀抜きの行事(5) 辻舞
(6) 山の神境内の五ツお起しの舞(7) 積木場

≫ 動画 村松町のお頭神事(神事祭礼)

お頭神事の流れ

(1) 入り笛式

 入り笛式は昔、村松町に神楽師がいなかった頃に山田の神楽師が奉仕していました。神事の前日の夜、山田から村松へ入るとき向山から笛を吹いてきた名残といわれています。
現在は、神事の前夜、神楽師が午後8時より、二班に分かれて西組は北浜中学校西より、東組は北浜小学校から同時刻に出発し、甚平辻で合流して宇氣比神社へ、宇氣比神社では境内で神職、町会長以下町会役員、氏子総代、祭礼保存会長等が提灯を掲げてお迎えします。

(2) 潔斎

 宮司や神楽師は、神事30日前から獣(牛、豚などの四つ足の肉)を食べることなく、身の潔斎に努め葬儀への参列も遠慮し、さらに神事早朝海に入って斎戒沐浴(さいかいもくよく)します。(蜃気楼が見える年もあるそうです。)

(3) 宇氣比神社での舞い

 年酒の式の後すぐに舞われるのが氏神さんへの奉納舞。この時、舞われる「六段」の舞は一年に一回ここだけで舞われます。続いて、大神宮に奉納する舞が、神宮遙拝処所付近で行われます。後に、町会長より太刀を受け、けがれの切り払いの祈祷を行います。神社境内での舞は、先代のお頭さんが舞います。

(4) 刀抜きの行事

 町会前の浜通りに張られた、注連縄を季節の境と見立てて、手前を「冬」、向こうを「春」として、若い衆が希望に満ちた春を迎えんと、押し合う中をお頭さんが割り込み、「エットー(越冬)、エットー」のかけ声で注連縄が切られると、若い衆は、『一番春を』めざして競争します。(このとき、若い衆のはちまきから外れた半紙を折って、頭に結ぶと頭痛・卒中の予防に効くとか。)
 辻舞を行うために又、歳目差をするのに、お頭さんの威厳を保ちながら、定位置にお移しする仕掛けとも云われています。

(5) 辻舞

午後3時より、「平和の礎」から順次始めます。元神社、末社等、昔名残の各辻で、年内豊饒の祈願をなし、直会衆により年酒の式があります。

~お頭さんに頭を噛んでもらう意味~

 昔から、願い事を念じながら、お頭さんに頭を噛んでもらうと、その願い事が叶うといわれています。各辻舞が終わると、子どもは「風邪をひかないように。賢くなりますように」、お年寄りは「健康で長生きできますように。」などと、観衆は御塩で頭を清めてから、こぞってお頭さんに噛んでもらいます。

(6) 山の神境内の五ツお起しの舞

 午後9時30分頃、境内横の広場ではツムギが焚かれ、そのかがり火と提灯に囲まれ幻想的な雰囲気の中で舞が始まります。辻舞とは違い、真っ暗で、かすかな明るさの中で舞う「五ツお起しの舞」は、『神秘的で躍動的な舞』、『幻想的な雰囲気の中で感動的な舞』でお頭舞の中で最も感動する場面です。

(7) 積木場

 山の神の舞が終わったら、祭のクライマックス「積木場」の行事です。
 松葉600束が焚かれ、お頭を囲む役びとに向かって若衆の押し合いに熱が入ります。町内の悪疫などを焼却して年中豊穣を祈願してお頭神事は終了します。

 

~お頭舞いの解説~

 村松のお頭舞いは、西暦1519年(室町時代1392~1573年)に初代お頭さんの修理をしたという記録から、500年以上前から町内の安寧と発展を祈願するために、続けられているものと推測できます。昭和33年には、伊勢市の無形文化財にも指定され、その継承は、たいへん意義深く貴重なものです。
 舞いは、「八岐大蛇」が須佐之男命に退治される様を表したもので、笛(能管)、太鼓、(昔は鼓もつかわれた)で奏楽します。七起こしの舞いと言われています。
 県下最古の神楽であり、伊勢神宮の神楽役人から発祥しました。

村松神楽師会

【中守】

序曲、八岐大蛇が、昼なお暗い山のほこらに眠っておりました。ふと目を覚まし、貢ぎ物、獲物(櫛名田姫)を求めてのどかな里の方へ降りてくる場面。

【初段】

貢ぎ物はないか、獲物はないかと爛々と光る眼で、獲物を探している姿。

【二段】

里に降りてきた大蛇が、貢ぎ物(ドブロク)を見つけて喜び勇んで居る様子。

【三段】

大蛇が、貢ぎ物のドブロクを一気に飲み干して、口の廻りに付いた砂をふるい落としている姿。

【四段】

大好物のドブロクをしたたか飲み干して、あげくの果てに酔っぱらい、浮かれ踊り出す様子。

【五段】

大蛇が踊り疲れ、酔いつぶれて此処に寝ようか、あそこに寝ようかとウロウロして、しまいには、良い寝場所を見つけて寝込んでしまう。舞の広範では、須佐之男命に見つけられて、ビックリ仰天逃げまどい成敗される。

【六段】

成敗された大蛇が、苦しみまわり昇天するまでの様子。(切り裂かれた尾から、草薙の剣が出てきたと言われている。)一年に一回だけ、神社での大神宮への奉納舞でのみ舞われる。

【スエラ】

須佐之男命に退治された大蛇の生が、天に昇っていく姿。今まで真っ黒な空が、一転にわかに切れて一条の群雲が、スルスルと降りてきて、大蛇の生が雲に迎えられ、空のかなたへ昇っていく様子。見物人こぞって「ヤンヤー(アレヨ、アレヨ・・)」と声をかける。

【御礼】

終章、七起こし舞の後に、直衆・観客に対しお礼の意味で舞う。

以上が「七起こし舞い」の説明。その他として、下記がある。

【ヘイバイ(太刀舞)】

町内の辻周辺で集めたけがれや災いを、切り払い清める儀式。お頭さんによって清め祓いが終わると、集まった人々は「タコヤー、タコヤー」のかけ声で集められるオヒネリ(賽銭)を、神楽師の掲げるタコ盆に奉じてお頭さんに感謝する。

タコヤータコヤーの意味
・「多幸や」、「多幸や」:年内の幸多いことを祈念する。

【五ッ起こしの舞】

辻舞を終えて山の神に着いたお頭さんが、一年の舞納めとして舞う。
「四段」から「御礼」へと移る特殊な舞で、一年に一回だけ舞われる。(要必見)

【神上げ(奏楽のみ)】

「六段」の後に「地三ツ」をつけたもの。

動画 村松町のお頭神事(神事祭礼)